積み上げてきたもの含め最高の景色を見せてくれたポルノグラフィティ19thライヴサーキット "PG wasn't built in a day"

ポルノグラフィティ19thライヴサーキット "PG wasn't built in a day"の個人的な雑記である。すべての文の末尾に※個人の感想がつく。

 

4年半ぶりの声出し解禁のライブだった。

 

博多に向かう新幹線の中で友人といつものようにセットリストの予想を立てていて、そりゃあ声出す曲をいくらかやるじゃろうてでも初っ端は緩やかな曲じゃろうよ、と言っていた生ぬるい考えを出だしからぶち壊してくれるサイコーのライブだった。

 

ポルノは一日にして成らず、建築、積み上げのイメージからか城のようなセットと花道のある会場。花道の目の前だったので、席の列数的には後方だが体感ほぼほぼ目の前の席だった。

 

一曲目、Century Lovers。

偉大な鳥山明氏の訃報からそう日が経っていない中、なんだかドラクエのようなカッコイイ曲がだんだんと変化していって、やがてセンラバになる。一曲目から!?とテンションのギアがいきなり最高潮に引き上げられ、数年ぶりの腕を振りながらフーフーと叫ぶ儀式に文字通り狂喜乱舞した。

 

二曲目、テーマソング。

思わず呼吸が止まったあと、号泣である。いつかみんなで、声を出せるときが一緒に歌いたいといつか言っていた曲で、前回のライブでは結局声を出すことができなかった曲。客席を映すカメラで泣いている人がたくさん映っていてまた泣いた。決して世の中はあの頃より前に戻ったわけではないし、完璧にすべての脅威がなくなったなんてことはない。それでも彼らはエンターテインメントをずっと提供し続けてくれていて、いつかの約束だって叶えてくれた。一緒に歌うことができてうれしかった。

 

三曲目、キング&クイーン。

クラップとコールアンドレスポンスの曲が続いて、手加減をする気は全くないことが痛いほど伝わってきた。テーマソングではボロカスに泣いてどうしようもなかった視界も落ち着いて、ド直球に背中を押してくれる曲へ応えるように声を出した。

 

四曲目、Mugen。

「なんかMugenってなんかめちゃくちゃライブでやってる感じがするよね、さすがに今回Mugenきたら笑うわ、好きだけど」という会話を新幹線の中でしたばかりだったので友人と笑った。でもそれはそれとして久しぶりのウォウォウォーオ!は大興奮である。

 

 

五曲目~REUNION、俺たちのセレブレーション、アニマロッサの明るめのカッコイイ曲が続いてからの変な踊りもといミュージック・アワー。後述するが、私は途中までこれが25周年の周年ライブだということを意識しておらず、俺たちのセレブレーションという15周年の曲をしっかりと入れてくれたことにあとから気付いて嬉しくなった。

 

九曲目、Sheep。

ここでセンターステージへ移動となり、かなり距離が近くなりわけがわからなくなる。Sheepがライブで聴けるだけでもかなり興奮したがさらにアコースティックバージョンが聴けるとは。アラフィフのお兄様がティーンエイジの曲を歌って全く違和感がないところがすごい。

 

さらにジョバイロもアコースティックバージョンが続いてから、フラワー、夜間飛行。フラワーと夜間飛行の映像がかなりよく、ああこの曲、すごく、素敵なんだよなあ、と改めていしみじみと身に染みた。友人曰く「映像の画質がいつもよりいい気がする」とのことだった。

 

 

友人と「ハイパー晴一タイム」と呼んでいる楽器だけのハイパーカッコイイ演奏のあと、今回一番の衝撃がくる。

 

 

十三曲目、オレ、天使

背中に羽根をつけて出てきた岡野昭仁くん(49)。羽根!?カワイイ!?なにあれ!?と戸惑いと笑いと慈愛と様々で騒ぎながら、曲が始まる。録音音声ではなく昭仁さんが実際にあの台詞を言っているのを見たのはかなり久しぶりなような気がする。以前、別のライブのときにもう台詞言うの恥ずかしいんだろうか?というような話を友人としたのだが、それ以上のことを堂々とやって堂々と台詞を放ち、ハチャメチャにカッコよく歌い上げていて、最高だった。誰かにやらされたのだろうか?と話していたら後日本人がツイッターでこの後の流れ含めてのブロックが重くなりすぎないように緊張と緩和を作りたかったとのことで、めちゃくちゃ本人の意思だったところも大好きだった。ちょっと緩和しすぎてごめん。私が死んだときに見る光景はあれがいいなと思えた。

 

十四曲目、170828-29。

この曲は聴くたびにロックンロールのことはあんまりよくわかっていないけれど、ロックンロールってたぶんこういうことなんだよな、と思う曲で、ご時世かな?この曲を持ってくるところ、本当にロックだと思う。ピースピースと騒いで楽しんでいる間、後ろの映像で建物が崩れていく。

 

十五曲目、アビが鳴く。

ピースピース騒いだあと、この曲である。オレ、天使がこのブロックの先頭にきていた意味にここでようやく気付いた。「愚か者がはびこるこの街」を天使が見にきたところから人間の争い、祈りに続いている。曲の流れの秀逸さと、厳島神社で神へ奉納された曲を生で聴くことができるという喜びと、平素は真剣に向き合えない平和への気持ちを抱いていた。

 

チベット仏教の仏具でマニ車というものがある。外面や内面にお経が刻印された筒状の機器で、それが回ると回しただけお経を唱えるのと同じ功徳を得られるそうである。ポルノグラフィティがこの曲を歌ってくれるたびに、私も平和への祈りを心の底から捧げることができてる、そんな気持ちになった。

 

十六曲目、解放区。

崩れていた建物が戻っていく映像だけでもう泣いたが、本当に素晴らしい曲だった。あの日、あのタイミングで聴くことができてよかった。

 

YouTubeで事前に見ることができたショートのリリックビデオで曲の途中まで聴いていて、スタンド・バイ・ミーではないが、どこか遠いファンタジックな国の、誰かと夜の国の女王の様子を見て、そこから無理はしなくていい、疲れたときには眠ればいいというものを感じる、やさしいやさしい子守歌のような曲だと思っていたが、リリックビデオより先の部分、ラストのサビのところで、「この国は終わらない」と昭仁さんが力強く歌ってすべてがひっくり返る。この国は、様々なものを指しているのだろうが、先ほどまでの人間たちの争いや平和について考えさせられたあと「この国は終わらない 私とお前がここにいる限り 終わりはしない」と言われ、日本のことを思わないでいられなかった。日々は、生きているだけでわりといっぱいいっぱいで、平和のことも、国のことも、そんなに深く考えてはいないような愚かな人間だが、そんな人間でも息が零れた瞬間だった。

 

さらに曲が続いて「上を見上げてみよ 誰もの頭上に輝くクラウン」と言われてしまうのである。遠い国の誰かの曲が、一瞬で私にも向けられた曲になった。あのときの、寝転がって頭をやさしく撫でられていた気持ちから、腕を思いきり引っ張られて一気に背筋が伸びた気持ちへ変わった体験が、もう二度と味わえないのだと思うと、これは書いて覚えておかないといけないなと思って今回記録をしている部分もある。

 

十七曲目~空想科学少年、ハネウマライダーからのアポロ。

打って変わって賑やかに騒いだあと、アポロが入っていて、ああそうだ、これは周年の記念のライブなんだ、と気付いた。

 

花道の中央で歌われるアポロを見ていて神VS神の東京ドームの光景が思い浮かんだ。あの日からずっと心が東京ドームにあって申し訳ないような気持ちになるときもあるが、こうやって「あの日」の光景が浮かぶと、おこがましいが彼らがあの日受け取ってくれたものを返してもらっているような気持になる。もらいすぎではある。いつだって今が全盛期なんだ、と感じさせてくれたアポロだった。

 

二十曲目、サウダージ

花道から戻る途中で昭仁さんが立ち止まり、ステージの方から色のついたスポットライトが照らしてサウダージを歌い始めた、あの瞬間の絵を、私が昔の貴族だったら宗教画として残していたと思う。見ていた方向がよかったのか、完璧な絵面だった。本当に美しく、素晴らしい、最高な出だしで、あのとき私が見ていた景色をどうにかもう一度見たいものだが、それができないからライブに行くのはやめられないのだ。

 

二十一曲目、オー!リバル。

いわゆる3さいシングルの「歌いんさい」を本編ラストに持ってきてくれたことがとても嬉しく、最初から最後まで、このライブは一緒に声を出そう、という気持ちが強く伝わってきた。

 

 

アンコールのふたりだけのアゲハ蝶はもちろんいうまでもなく最高で、初の試みであったジレンマは全く上手く撮れないことが逆に面白くなってしまった。ポルノグラフィティの常に新しいことを試していく姿勢が本当に大好きだ。次回もあるのならばヘッドストラップの角度調整を忘れないようにしていきたい。